今年のよさこい祭りは「赤かった」というのが私の第一印象です。偶然か必然か、赤いコスチュームを採用したチームが目立ちました。『上町よさこい鳴子連』の真っ赤な衣装、『TACYON』のおめでたい紅白、『万々商店街 万々歳』の真っ赤な上衣・・・など。
ちなみに今年のよさこい祭りの時期に前後して3個の台風が西日本に向かってくるという事態になっていました。幸いに進路が外れたり、日程に被らなかったりして影響は全くありませんでした。天候に左右されると言えば、最近の夏の暑さも気になります。2020年東京オリンピックのテスト大会でも暑さが問題になっています。ひょっとすると、夏の日程は屋内会場限定開催で、ストリート演舞は春(例えば「土佐のおきゃく」の時期)という住み分けが必要になるのかもしれません。「あの暑さの中で踊るのが良いのだ」という気持ちも分かりますが、明らかに最近の高温傾向は以前の常識とは違っています。
ところで、『ほにや』の泉代表が「こう来たか」と言われるように変わり続けるチーム作りをしたいと挨拶でおっしゃっていたのは、昨年の私の記事と偶然趣旨が一致していて面白かったです。よさこい祭りは常に変化する祭りです。しかし、変わればいいというものでもありません。例えばツイストを取り入れても、やっぱり『ほにや』だと思わせるアイデンティティーが必要です。その簡単ではない両立をバランスよく実現しているのが、このチームが人の目を惹きつける所以 でもあります。また、今年よさこい大賞を受賞した『とらっくよさこい(ちふれ)』も、一貫して「お喜楽◯◯」シリーズを押し出していますが、そのコンセプトと衣装、そして音楽が見事にシンクロして納得のパフォーマンスでした。
なお、たまたま『Summer PenguinS』の演舞を 通しで見る機会がありました。最低練習参加時間の設定無し、服装自由のゆるいチームです。だけど「ゆるい」からといってダラダラしているとか、そんな風には見えません。その3部構成の演舞は、見ている私も大いに楽しめました。おそらく・・・ですが、よさこい祭りに参加する人や見るひとの原風景はこんなだったに違いないと思わされました。どちらかというと、“よさこいスポ根”のような風潮が人口に膾炙している中で、こういうチームは逆に新鮮です。いや、“よさこいスポ根”チームをディスっているのではなくて、色々なスタンスのチームが共に参加できる高知のよさこい祭りの幅の広さが魅力だと改めて感じたのです。これも、よさこい祭りの醍醐味 の一つと言っても差し支えないと思います。
さて、よさこい祭りは70年に向かって進んでいきます。私もこれからどれだけ取材に赴けるかわかりませんが、できるだけ見届けたいと思っています。